2017年2月21日火曜日

二度目のソウル


冬季オリンピック会場視察からソウル市内に戻り、昼食後に1時間ほど時間がとれたので、踏十里のアンティークビルに寄りました。古物商が集まる古いビル。その一室に、澄んだ心と眼をもつ丁 大英(チョン・テヨン)さんが営む「トンインバン」があります。


李朝の木工家具を選ぶセンスに定評のあるチョンさん。木工家具の研究書を5冊も著していて、訪問時も新たな本を執筆中でした。家具に用いられる釘や金具だけを解説するものもあり、豊富な知識、そしてなにより洗練の選択眼をぼくは崇敬しています


扱う古物は李朝家具が中心ですが、選び抜いた陶・磁器も尋ねれば出してくれます。これは李朝の面取壺。松の薪で強く焚かれた表情が荒々しく、佳い風情を表出しています。ごく限られたおこずかいで買える値(5,000円ほど)でしたので、いただきました。


事務所の壁に並べられていた箸置大のオブジェに惹かれました。チョンさんの娘さんがつくられたものだそうです。雁を模した簡素なかたちに、父親譲りのセンスを感じます。


ひとつ300円ほどでしたので、これも持ち帰ります。壺と鳥の小物。李朝のかたちを眺めていると、そのむこうに小鹿田の姿が浮かんできました。最初のソウル訪問より、さらに満足のいく買い物ができて嬉しいなぁ。「トンインバン」の隣室には、リーズナブルに佳い古物を集める「香美堂」があるのですが、廊下に立てかけたソバン(小盤)の天板などが目に入り、猛烈に惹かれつつも、すみやかに立ち去りました。また、買いに来よう。いつだって、ここでは美しいものに出合えるのだから。
SEE YOU SEOUL!

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. / f1.4