2017年5月11日木曜日

銀座の夢心地


仕事を終えたら、新橋駅まで歩いていく途中、23時30分まで営業する「銀座 蔦屋書店」に立ち寄ることが多くなりました。銀座の新名所「GINZA SIX」のなかでも、とくに注目したい空間として取材。開店前に店が目指す方向やサービス、美意識など、細部まで掘り下げてお話を伺うことがきっかけでファンとなり、日常的に通いたくなったのでした。


アートや日本文化をキーワードに、オリジナル出版物を含めて選び、集めた本の総数、自然光と間接光を巧みにミックスしたインテリアのモダンさが魅力。その洒脱な空間感以上に惹かれたのは同じフロアに併設する特別なスターバックスの存在と役割でした。この店の奥にはお酒も愉しめる「RESERVE® BAR」が控えています。


ここでは、銀座 蔦屋書店内の本のほか、3,000冊ものアート系雑誌のアーカイブ、オークションカタログが書棚に納められ、お酒やコーヒーを味わいながら、自由に読むことができます。照度を抑えた暖色のスポット光を配した店内は、書店内と同じく、外国のような情趣があり、夢心地になります。その格別な居心地のよさから、平日でも混み合います。


ぼくが午後、訪ねたときも席が埋まっていたので、テイクアウトすることにしました。じつは、ここで求めたコーヒーを書店側に持ち込むのもOKなんです。お客さんのほとんどが知らないようです。いただいたのは、ここでしか飲むことができない窒素入りアイスコーヒー「ナイトロ コールド ブリュー コーヒー」。スペシャルな豆をビールサーバーのようなマシンで抽出。豊富な知識をもつブラックエプロンのバリスタが軽妙なトークとともに注いでくれます。場のムードと合わせて、その所作だけでうっとりと心酔しちゃいます。


銀座 蔦屋書店には所々にソファ席がありますので、気になっていた一冊を眺め、優雅な気分でまろやかでクリーミーな一杯と、美しい本を愛でます。ブルックリン・ミュージアムで開催中のジョージア・オキーフの展示図録。アート作品よりもファッションや、自宅インテリアなど、彼女の嗜好に焦点を当てた構成。連日、入場制限が生じるほどの盛況ぶりが伺えるスタイリッシュな本。amazonでは取り寄せで、ストックなしですが、この書店はさすが、複数冊が棚に挿されていました。


そして、渋谷bunkamuraで催されている写真家ソール・ライター展公式図録も平積みで販売。話題の展示会場と、ごく一部の書店のみで先行発売されているレアな本ですが、しっかりと扱っているのが嬉しく、感心。嬉しさのあまり、有料の風呂敷パッケージサービスまでお願いしてしまいました。風呂敷は大小2サイズ、色は赤、ピンク、紫、緑から選択可。小はA5版型くらいまで、900円。大は2,000円。


むす美に別注をかけたオリジナル。ちりめん素材に蔦屋の家紋だけがシンプルにレイアウトされています。この包みを脇に抱えて、銀座の街を歩いていると、「銀座の旦那」になった気分で、銀座特有の上質な高揚感に、身も心も溺れることができます。今まで、新刊本書店では京橋のLIXILブックギャラリーが世界一好きでしたが、その一位の座に、銀座 蔦屋書店が据わりました。銀座 蔦屋書店も、同フロアのスターバックスもapple watchのモバイルSUICAで支払い可なことも、自分には大きな利点。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. f/1.4