2017年5月26日金曜日

SNAP PAD


手触り、機能、色合い。質が高く、美しく、使い心地がよい文具を創造するポスタルコ。ぼくの仕事に上質な高揚感をもたらしてくれている。なかでも、A5A4、2サイズの紙をはさめるSNAP PADは日常業務の必需品。A5サイズはコピー紙を留めてメモとして、A4サイズは本の構成案を描いたり、写真とテキストを竹尾の用紙「タブロ」にプリントして留め、プレゼン用ツールとして活用。どちらも定型の用紙サイズ。A5はA4の1/2判だからコピー紙をリサイクルする際も半分に折り、手でちぎるだけ。その手軽さがじつに勝手佳い。紙を留めるパーツはオリジナルの真鍮製。留めるときの音や感触もテストを重ねて製品化しているのだという。デザイナー、マイク・エーブルソンさんの情念が注がれている。


渋谷と京橋の直営店では、A4 SNAP PADにはさんで集められるフリーペーパー ’It’s Just Paper Project’ のNo.1とNo.2を配布中。写真右は文筆家・編集者・インタビュアー佐伯誠さんの手描き文章。佐伯さんはポスタルコHPや製品紹介などのコピーを担当しているそう。左は神保町の路上で拾い集めたクリップを並べたもの。ビーチコーマーならぬシティコーマー。よく足を運ぶ町の足元にこんなものが落ちているのかと目からうろこが落ちる。収集者Souichi Hikawaさんの視点に感服し、2枚いただく。真似をしてぼくも拾ってみよう。意識して探すことで、落ちている場所の傾向や状況など発見上のポイントがわかるにちがいない。ちなみにこのヴィンテージ・クリップの実物は渋谷店に展示しているそう。


SNAP PAD愛用者としては感激のプロジェクトだと、京橋店スタッフに熱く称賛の言葉をかけたあと、銀座メゾン・エルメスでのウィンドウ・ディスプレイ「TOOL ROOTS」に話が及ぶ。京橋店には、マイクさんが考える道具の3要素のひとつ、ロープのオブジェが飾られている。


マイクさんはロープの繊維をすべてほどき、再び少しずつ固めてオブジェを制作したという。


そこに探究の心、思考と嗜好をみる想いがして、メゾンエルメスを翌朝、再訪。最初は見逃していた、ディテイルに目をこらしました。


マイクさんはきっとチャールズ・イームズの観察眼に崇敬の気持ちを抱いている。イームズが道具への考察を語るムービーを観ていると、マイクさんに通じる目と心の動きを感じる。だから僕はマイクさんのつくるものに強く惹かれるのかもしれない。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. f/1.4