2017年6月3日土曜日

夜のメゾンエルメス8階


今週の「華木」は、夜の銀座、メゾンエルメスのウィンドウ・ディスプレイ「Tool Roots」をiPhoneで再撮しに行くついでに、8階のギャラリーに上りました。22日まで今月は毎週木曜の夜19時からギャラリーツアーを開催。予約不要、参加無料。実のところ現代アートに無関心な自分はあまり期待していなかったのだけど、これがじつに佳かった。メキシコのアーティスト、アブラハム・クルズヴィエイガスさんの作品に用いた素材、インスピレーションのもとなどが具体的にわかり、鑑賞が数倍も楽しくなる。何も持たずに来日し、身近に入手可能なものを活用してつくる。その思考やDIY精神の背景には生まれ育った環境、家庭事情が背景にあること。メイン展示作品が新橋の中銀ビルや、イサムノグチの彫刻作品(あかり)にヒントを得て、和を象徴する植物のようでいて、じつはメキシコが原産地の朝顔を絡めるなどなど。アートに具体的な解説は不要で、人それぞれの感覚で解釈すればよいという考えもあるかもしれない。けれど、やっぱり創作者の意図を明かされた方がアートにより親しみを覚える。というのが僕の実感。作品展示のそばで彼が選んだ本を自由に読める趣向も、とてもいい。選ばれた本のいくつかを手に入れ、じっくり読んで彼の思考の深いところまで下りていってみようと思います。朝顔も活用してみたいし、家にあるもので何か制作してみようと、刺激をたくさん受けたツアー内容でした。

廃材を脚にしてガラス板を載せたテーブルもナイスな発想。イサムノグチの有名なコーヒーテーブルが発想源だそうです。廃材でノグチの彫刻よろしくバランスを取る発想が痛快! これもぜひ真似してつくってみたい。奥の映像作品のテーブルとして何気なく使われています。目を凝らして探してみてください。

LEICA M-E , MACRO ELMAR90mm f/4