2017年7月5日水曜日

逗子から歩いて帰る


鎌倉に出かけた帰りは逗子駅から葉山まで歩いて帰る。ふだんは風を斬って通り過ぎる路地で、眼が留まったシーンをスナップしながら歩く。所要1時間ほど。田越川に架かる白い鉄橋は対岸の私有地に伸びている。


葉山・長柄交差点から国道を避け、裏道に入る。赤瓦の洋風フラットハウス。25年前、葉山に移住しようと考えたとき、こんな家を探し求めていた。


瓦はやっぱり佳い。日本の美しい風景は瓦屋根の家が形成してきた。瓦屋根の小さな小屋。それが自分にとって究極的な、理想の住まい。


森戸川は近くの低山から流れ出て、森の養分を相模湾へと運ぶ。葉山の海が美しいのは、この川の作用も大きい。


蔓を這わせて繁茂する植物が壁を濃緑に染める。そのグリーンと瓦の赤が見事に調和している。温暖な葉山には、赤瓦がよく似合う。


地域住民しか歩かない路地にたたずむプランツ・ショップ。気張らず自然体で、洒落ている。しかも、この店はしっかり地域に根をおろしている。


瓦屋根の住居が当たり前のように息づいている。こんな路地が愛おしい。


空地を葉が覆う。植物の生命力をことさら感じる梅雨。繁茂の勢いが葉山の風土を象徴。


1990年代、雑誌『BRUTUS』湘南プロヴァンス特集に惹かれて葉山を訪ねた。そのときにこんなモダンで品の佳い家に憧れた。


和風住宅に武骨な鉄フェンス。モロッコの町を彩るような、ブルーが目に沁みる。


多肉植物愛好家の住居だろうか。さまざまな造形をラフに並べるセンスが佳いなぁ。


庭に置かれたボート。こみちづたいに海に運べる。


湘南プロヴァンス特集号の表紙になった小屋。家主に葉山の移住先を仲介してもらった。


海に面した茅葺ハウス。夏の夕暮れ、住み手が縁側で涼むシーンが美しい、羨ましい。


海に迫る山と、大きな邸宅の椰子。ここはバリかと錯覚しそうな葉山一色界隈。この緑が、山風が、潮風が、鳥のさえずりが、静けさが、日々、安らぎを与えてくれる。世界中の楽園を旅してきたけれど、ここ以上の場所はなかった。

LEICA M-E , MACRO ELMAR90mm f/4