2017年12月8日金曜日

吹き硝子ランプシェイドをカスタム 前編


世田谷・尾山台の工藝店「手しごと」でスタッフ山藤さん、オーナー久野民樹さんを介して福岡県小石原(東峰村)の吹き硝子工人・太田潤さんのランプシェイドを注文。「手しごと」で使われているのは乳白色の硝子だが、発注したのは濃い緑色(モスグリーン)。


潤さんの特色と感じる色合いだからだ。真鍮のソケットにはめこまれた特注品で、ランプコードは引掛けシーリングに留める接続方式。ランプを使用する我が家の土間は引掛けシーリングがない空間のため、ランプコードをカスタムする必要があった。そこで、ランプシェイドを尾山台で受け取り、その足で鎌倉・二階堂に向かった。


FIVE FROM THE GROUND」はフランスやベルギーの蚤の市などで店主の成塚夫妻が仕入れてくる、美しい日用品を厳選する古道具店。ふたりの美意識が品揃えだけでなく、空間の隅々まで行き届いていて、訪ねるたびに魅せられ、センスに憧れる。


照明好きという夫妻の嗜好も表れているのだろう。古くて味わい深いランプ類による独創的な間接光ディスプレイにぼくは強く惹かれる。陶器、真鍮、ベークライト(樹脂)の素材のフランス製ヴィンテージ・スイッチは100種ほどストックしているという。


スイッチのほか、ランプソケット、ランプコード、レール、重り、シェイドなどの各種パーツ、旧型式の規格に合う電球も扱う。それらの豊富なパーツを自在に組み合わせて、オリジナルのランプをカスタムしてもらえる。


新築・改築工事にあたり、照明パーツを探しにくる施工関係者の客も多いそうだが、家を建てたあとや、賃貸住宅にも後付け可能なセットもぼくのような個人客向けに組んでくれる。こんなニーズに応える古道具店はほかにはないと思う。


ぼくがランプを設置しようと考えている土間は、ランプコードを延長し、そのコードの途中にスイッチを、コードの先端にコンセントにさすプラグを付ける必要があった。もちろん、引掛けシーリングの留め具に接続する簡素で安価なコードもあるのだが、せっかく佳いランプシェイドをこれから長く愛用していくことになるのだから、使う悦びがいっそう高まるよう、奮発して美しくコーディネイトしたかったのだ。シェイドの色合いから、ランプコードは茶色、スイッチは黒いレジンのものを選んだ。壁にスイッチを留めるのに必須な木製のスイッチ台もフランス製。こんなものまで見つけてくる人は成塚夫妻以外、そうはいないだろう。


今回は特別に、自分が持ちこんだランプシェイドとソケットに3m70cmのランプコードとスイッチ、プラグの組み入れをすべて成塚さんに依頼した。その打ち合わせをしている最中、フランス製のオイルランプにも眼がひかれる。この造形、壁に留められる機能。なんて格好よいのだろう。成塚夫妻の審美眼に痺れ、店をあとにした。

続く。

※「手しごと」、「FIVE FROM GROUND」の店内写真は許可を得て撮影しています。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. f/1.4
MACRO-ELMAR90mm f/4