2018年2月25日日曜日

20年目のソール交換


20数年前、CDを大量に手放して得たお金で、神保町の靴屋にて入手したアイリッシュセッター。マニアによれば貴重な年式のモデルらしい。はじめは革が硬くて足に馴染まず、歩くとやたら疲れてしまうから15年ほどずっと履かずに放置していた。海が近く、山が裏に迫る多湿な環境の自宅でカビが生えなかったのは日当たりのよい屋根裏に置いていたからだろう。15年ぶりに引っ張り出しても、革が硬化することなく、ソールも不思議なことにまったく劣化していなかった。それで再び履くことにした。東京と葉山を往復する毎日、取材や散歩で歩きまわるうちに革はしなやかに足を包むようにフィットしていった。ウォーキングシューズではないのに、長い距離の歩行を快適に支えてくれるように思えた。毎日、履いているとさすがにソールはすり減り、違和感を覚えるようになった。ソール交換業者を調べ、選んだのは藤沢の「AZZURRI SHONAN」だった。業界最安値という料金と、BLOGから伝わってくる、修理担当者のレッドウイング愛に惹かれた。


それまでの純正クレープソールよりも硬くて丈夫というヴィヴラムの1010ソールに交換してもらった。LINEでの、ていねいなメッセージのやりとりも信頼できた。もちろん仕上がりも大満足。「旧年製のよい875ですね」という褒め言葉も嬉しかった。


長い放置期間にもへこたれず、20年後の今も、当たり前のように足を護る機能を果たす。そんな北米製品の無骨な頑丈さに、ぼくは崇敬の念を抱く。80〜90年代のパタゴニア製品に通じる、北米の良心だと思う。


戻ってきたアイリッシュセッター875に、VINCENT SHOELACEの『SANDY』を通す。ブロンド・マルーンという色合いが使いこんだ茶革と相性がよく、この愛すべき一足をいっそう魅力的に見せてくれる。ソール交換しながら、あと20年は日々、履いていきたい。

SIGMA DP3 MERRILL 75mm