無印良品有楽町店の「ATLIER MUJI」にて開催中の『ギフト デザインの贈りもの展 -永井敬二コレクション-』。永井さんの熱情があふれる会場でカイ・フランクさんにまつわる逸話に惹かれた。2006年にフィンランド、ヘルシンキの「デザインミュージアム アラビア」で催された『カイ・フランク展』のポスターをあとめ買いし、グラフィックデザインが好きな友人に贈ってきたという。その魅力的なポスターに見入り、視線をずらすと、3枚の紙焼き写真がはさまる、無印良品のアクリルフレームが目に入った。
永井さんは、「フィンランドの良心」と崇敬されるプロダクト・デザイナーのカイ・フランクさんと深い親交があったのだろう。日本の民具や工藝品のリサーチに訪れたこともあるカイさんから「日本の蛸壺と地下足袋が欲しい」と要望され、縄やフジツボが付いた蛸壺を自宅訪問の手土産に持参。カイさんは大変感激したのだという。
潮の香りも運ぶ、粋な贈り物に感心しながら、一冊の本が思い浮かんだ。『カイ・フランクへの旅』(グラフィック社)だ。瀟洒なレイアウト、美しい写真、補足説明の充実したていねいな編集。もしやと思い確認するとやっぱり! 笠井良子さんの仕事だった。笠井さんは『民藝の教科書』や『日本の手仕事をつなぐ旅』を手がけた、もっとも尊敬する編集者。これら民藝本に続き撮影担当した永禮賢さんの写真も素晴らしい。誠実で美しい。カイさんのプロダクトに通じる良質な本に胸が熱くなった。同時に、北欧デザインに夢中だった時代を懐かしみ、埃をかぶっていた『ティーマ』を洗い、コーヒーを入れた。この本によって「フィンランド・デザインの良心」の軌跡のみならず、自身の心の変遷をめぐる旅にも出ることもできた。
LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH.
SIGMA DP3 MERRILL 75mm


