週末の昼、外でご飯を食べたいと思うとき、目指す店はたいてい横須賀モアーズ内の中国湖南料理店「雪園」になる。ランチタイムが長く設けられているのがありがたい。いつも出遅れがちな僕たち夫婦には、駆け込み寺的な一軒なのだ。
横須賀市街と東京湾を眺めながら、ゆったり過ごせる空間のラウンジ感も魅力。ボリュームあるランチメニューはどれも体と心を幸せな心地にしてくれる。化学調味料など、使わず、食の大事を念頭に商いしているのだろう。こんな店は自分の生活圏では貴重な存在。
この日は酸辣湯麺と小籠包のセットをいただく。表面には湯気が立たないが、スープの下に熱が閉じこめられている。麺の硬さ、太さも好み。
小籠包に生姜を載せて、酢醤油を垂らしてぱくり。旨い。
築地の仕事場においても、たまに麺を食べたくなる昼には、「雪園」の京橋店に向かう。大好きな書店「LIXILブックギャラリー」の裏あたり。画廊が並ぶ界隈の、しっとりと落ち着いた雰囲気が佳い。この京橋店には、社長が懇意にする画廊で買った作品が飾られている。豪勢な風情の空間なのに、ランチはリーズナブル。そのギャップも愉快。
ランチメニューの構成は、横須賀店とは異なる。たいてい選ぶのは担担麺のセット。回転卓のある部屋で、ちょっと贅沢な気分も味わう。ほかのレストランと違って、昼どきもせわしなくない。悠然とした時間がサービスの根底に流れている。
たっぷりと盛られたデザートになごんでいると、心は大陸へと飛んでいく。こんな佳い店、築地や銀座には案外少ないのです。
SIGMA DP3 MERRILL 75mm
