2018年4月24日火曜日

讃々舎


日曜日は三浦海岸駅前のコーヒーハウス「POEm」へ。辻マスターがていねいに煎れる、おいしいコーヒーを味わい、マスターが集める美しいものに囲まれて、友だちの高梨さんと深い話に興じる。


海近くの陽光にきらめく倉敷やメキシコの硝子。美しい景色。美しいものを、こうして日常的に眼にして心の奥底へ透過させていきたい、これからもずっと。


そのためには辻マスター、高梨さんとの交流は欠かせない。二人のコレクションも一部、見せてもらう。小鹿田焼をかたどったと思われる、倉敷ガラス・小谷真三さんの蓋つき瓶は細部の造りの精巧さから、若いときの制作ではないかと推察。この骨格に魅せられる。


民藝運動家・外村吉之介さんが北九州の工房に依頼したと思われる初期型ペリカンピッチャー。奥原硝子の製品に比して、よりふっくらとしたライン、大らかなフォルムが佳い。その微小な違いを感じるのが重要なんだ。


高梨さんの腕にはエルメスのレザーベルトが。幅広く深い関心の拡がり。僕はそこに強い共感を覚える。僕の友だちで彼ほど物が好きな人はいない。物を好きになるには、買うことから探求の旅は始まる。知識ばっかりじゃだめなんだ。まずはどんどん買わなくちゃ。


高梨さんは古くて佳いものを扱う古物商「讃々舎」を興した。150円で販売するZINEは彼の審美眼を伝える。好きな物への愛情にあふれ、思慮深い文章も素晴らしい。紙の質感と書体の選択、写真と文章の配置も。こんなZINEをさらりと自作できてしまうことに、僕はとても驚き、感銘を受けた。「讃々舎」は当面、三浦海岸駅前の「三浦ストア」にて、この店の定休日、水曜・木曜のみのオープン。吟味した物を、ふだんはジャムなどを並べている棚に少しずつ置いている。営業時間は午前中から夕方くらいまでとアバウトだが、昼前後に訪れればベストなタイミングだと思う。


柳宗悦が京都・東寺の骨董市で見出して、日本民藝館の茶卓に転用していたという茶碗蒸し受け。恩師・久野恵一さんがのちに同じ市で同タイプを見つけて歓喜した。熱を帯びた恵一さんの話を聞いて以来、僕もずっと欲しくてたまらなかった物。


高梨さんはいろいろな大きさ、新旧タイプを集め、ストックしている。この日、そのなかからひとつだけ選ばせてもらった。これも眼の鍛錬。


葉山~三浦海岸、往復32㎞のスロージョギング行。これからは最高に欲しいものが目的地で待っているのだから、嬉しくて仕方がない。消費カロリー2,030kcal。糖分補給に寄った、帰り道の「ミニストップ」でグレートな感慨に浸った。

SIGMA DP3 MERRILL 75mm 
iPhone X 24mm portrait mode