2018年4月23日月曜日

吉田町の骨董市にて


土曜日は横浜吉田町「Archiship Library & Cafeで催されていた骨董市へ。チベットの古いものを紹介していく今後の展望について、出展者のひとり喜八さんと打ち合わせする。互いに方向性がはっきり見えて意義深い時間だった。写真は喜八さんがつい先日、北京で出合ったというシルクの美しい服2点。


刺繍でかたどられた文様は鳥や昆虫など、幸福を招くものの象徴。服の全面にほどこされていて、その愛らしさと圧倒的なパワーに元気をたくさんもらう。これをまとったり、家に飾っておけば、絶対に幸せになれると信じこめる力がみなぎっている。清朝のものだそうだが、どんな人が特注したのだろう。権力者・為政者は故宮博物院の国宝展示からよくわかる通り最低の悪趣味だから、この所有者はよほどセンスのよい富裕者だったのではないか。その美しいものをとらえて選び、集めてくる喜八さんの眼と心にも魅せられる。


この日、家を出る直前まで読んでいた「popeye」最新号のニューヨーク特集のなかに、じっと見入った見開きファッションページがあった。女性モデルがとても好みだったのもあるが、その足元に置かれたスタイリスト私物だという猿の木製玩具に強く惹かれた。骨董市の会場から去ろうと、今一度振り返ったとき、道端に500円で売られてたこの玩具が目に入ったとき、僕はあっ!と思わず声を出して驚いてしまった。なんというめぐりあわせ。


千趣会が僕の生まれた1965年ごろから販売していたという「ロイヤルペット」。北欧の木製玩具を真似て制作したものらしい。この猿はカイ・ボイスンが1951年に発表したフィギュアに眼と口が似ている。おそらくこれをコピーしたものではないか。オイル仕上げの塗装の風情もそっくり。カイ・ボイスンのデザインは子どもがハンガーとして使える機能性をもたせたものだが、ロイヤルペットは完全な飾り物。形はなぞりながらも独自のものにしてしまう日本のかつてのコピースタイルを伺わせてくれるプロダクツ。骨董市はいろいろ勉強になるなぁ。

SIGMA DP3 MERRILL 75mm