2018年8月10日金曜日

butter tea



四ツ谷のチベット料理店「タシデレ」が日本では希少な、ヤクのバターを入手したと知り、遅い昼ご飯を食べに行った。ヤクの脂が染みこんだ器「ザップ」を持ちこんでマイカップで本場のバター茶をいただくのが第一の目的。たまたま、東チベット出身で、日本で法律を学ぶチベット人と居合わせたので、この器について話を聞いた。



高所のチベットは乾燥しているので、木製の器は割れやすく、維持が難しいこと。そのため、木を使うときは堅いコブの部分を素材にすること。僕が所持する器は一般に「ザップ」と呼ばれ、チベット自治区の地域によっては茶の物を意味する「ジャッネ」とも言い、青海省では「ゴロク」と呼称すると教えてもらった。そして、持ちこんだ器を手に、サイズからして子ども用で、底の傷の多さから食器にも使われていたのでしょうと推察していた。マイカップはヤクのバターを溶いた茶で満たすと、独特の香りが器本体と調和。牛のバターで淹れたものより違和感なく味わえた。だが、正直に言うと、現代チベットと同じく、磁器カップで飲むほうが、すっきりとおいしく感じられた。ただ、飲み干したあと、わずかに残る水気がみるみる乾いていく様子には驚いた。器が脂を吸いこんでいく。なるほど、こうして木が自然とコーティングされ、拭き漆のごとき飴色に育ち、同時に乾燥による割れを防ぐのかと、かつてのチベット人の叡智に感心した。ヤクのバター、しばらくストックしているそうなので、関心ある人はぜひ。



最近始めたという「チキン・ビリヤニ」が僕の口にはとてもおいしく感じられる。インド産バスマティライスを炊き、ごろごろと大ぶりな鶏肉と混じえている。化学調味料、添加物はいっさい未使用の優しい味わいが空腹を幸せに充たしてくれる。マイルドなスパイシーさも絶妙。

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