表参道「solakzade」で1930年代にボシュ&ロム社が製造したリムレスフレームに最新の遠近レンズ『HOYALUX JAZ』を組みこんだ眼鏡を受け取る。レンズの成型と仕上げもsolakzadeの仕事。オクタゴン・オーヴァル型のレンズは顔に合わせて天地・左右のサイズを決め、エッジ部は再生硝子状の薄いグリーンが引き立つよう鏡面磨きが施されている。
店では「5ピース」と呼称する、インターネットでも探り当てられないスペシャルティ。さまざまな鼻パットに交換できる仕様で、限られた時期に作られたそう。顔の筋肉の微細な動きにフレームがしなやかに応じ、格別な装着感をもたらす。そして驚異的に軽い。富裕層の特注品かと思いきや、大量生産された工業製品だという。「一部の顧客のためだけの工藝品ならば、僕らも時間をかければ作れます。だけど、すべてのパーツをたくさん作ってバリエーションに対応することは絶対に真似できない。当時のアメリカが国策として取り組んだものづくり。そこを僕らはリスペクトしてます」。岡本オーナーの言葉を聞いて、マンハッタンから発掘されたこの一本を選んだ。ミスタートランプ、アメリカの誇りを取り戻すなら、これくらいの工業製品を復活させないといけないんじゃないかなぁ。
SIGMA DP3 MERRILL