葉山のバス停でバスを待っていたとき、前に並ぶ人が履くスニーカーに眼が留まった。クラシックな色合いとかたちが佳い。調べたら、ボストンに拠点を置くサッカニーの一足だった。日本での販売元であるABC-MARTのサイトを開くと、3,000円台というお値打ちモデル『JAZZ LOWPRO』のセール品を見つけ、駅に向かう車中でオーダーした。
80年代のブルックスやニューバランスを彷彿とさせる外観と、ふんわり足を包みこむ履き心地。アメリカのジョギングシューズが日本に到来した衝撃をリアルに知る昭和40年生まれとしてはたまらない。通勤靴にしたら、足運びが劇的に軽やかになった。せっかくならばと、シューレースをVINCENT SHOELACEの『H.COOPER』に交換。オートミールの淡い色合いもよいなぁとさんざん迷った末、色はヘザーグレーを選んだ。
風情あるシューレースの質感と色味。付け替えたら、サッカニーのヴィンテージな情趣と合い、この靴への愛着が深まった。結ぶたびに軽いストレスを感じる純正のシューレース（なぜ付いてくるシューレースって無用に長すぎるのだろう？）と違い、長さも絶妙。結んだ姿が美く、靴ぜんたいのプロポーションも変わる。同封されてきたチラシも額装したくなるくらい佳い。写真のようだが、絵が得意な友人に描いてもらったという。京都出身の男女2人が営む、この小さな工房へのリスペクトもいっそうと増す、素敵な計らいだ。
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