2018年11月18日日曜日

GOOD THINGS


友人の高梨武晃さんが三浦市で工藝店「讃々舎」を新装開店するというので、空間を見せていただいた。今までに集めた、ちょっと古くて佳い物が9割ほど、残りは新しい物。テーブルや棚に並ぶ、骨格あるかたちの賑やかさに眼が圧倒される。骨董市のような風情だが、ここまで厳選された物をミニマルではなく、たっぷりと見せられる業者は稀有だ。




ここからの選択はもちろん訪問者の自由だが、すべて高梨さんの眼を通過している物だから、どれに手を伸ばしても無事な買い物になるだろう。



ときに直観に余計な作用を働く解説は添えていない。けれど、求めれば物の背景をきちんとわかる範囲で教えてくれる。その範囲の幅と深さが高梨さんの魅力のひとつだと思う。


比較的大きなサイズの盆も各種。




李朝木工のほか、イランやスペイン、メキシコなど西洋の工藝品も混じるのが楽しい。


L.L.BEANやエディバウアー、ウールリッチ、ラルフローレンなど90年代から2000年代初めの、質の高いアメリカンカジュアルなウエアも扱うのもユニーク。今は冬物も充実。


鹿児島・龍門寺焼の「コロ湯呑み」。現行品のそばに、少し前の時代の物が売られている。触れると新旧の差異がよくわかる。少し前により佳い物が当たり前にあったのだ。


たとえば作家だらけの益子で、工人の名をいっさい伏せた場で優品を選び取ることは、僕にはたぶんできない。この名もなき工人によるデミタスカップを選べる高梨さんの眼識に感服した。僕にとって、ここは眼の鍛錬になる道場のような空間となりそうだ。週末、クロスカブに跨って三浦半島の先端に向かうのが楽しみで仕方なくなった。

LEICA M-E