2019年2月2日土曜日

Inn



連日、築地6丁目、7丁目に点在する危機遺産を観てまわる。昭和初期の海鮮物問屋はよほど羽振りが良かったのだろう。彼らが宮大工に頼んで建てた町家や看板建築は立派で美しく、ただ羨望の溜息が出る。



佃島の水辺に建つ、大正時代築の町家に20数年暮らしていたから、これらの木造建築の内部は陰翳がいかに劇的か、そして冬は木のぬくもりが満ち、夏は涼しい風がよく通るか、日常がリアルに思い浮かぶ。だからこそ余計、こんな家に住みたい欲求が強まっていく。



そんな望みは夢に終わるのかと、仕事場の現実世界に還ろうとした昨日、ついに出会ってしまった。海産物問屋が建てた武家屋敷スタイルの「大宗旅館」に。素泊まり1泊6,000円で利用できるという。外構から想像するにきちんとして、なおかつ風雅な人が営んでいるに違いない。場外で酒と肴を楽しみ、ここで眠る。今年のTO DOリストにまた新たな一行が加わった。

LEICA M-E , SWH15mm