2020年7月27日月曜日

雨のち光と氷菓子



旅を主題にする自分の本業は再開の見込みが一向にないけれど、副業として早朝から毎日働き、畑もほぼ週一で通い、新たな生活スタイルが確立しつつあります。以前の贅沢なひとときも少しずつ楽しんでいきたいな。というわけで、梅雨の大雨が朝に一休みした日曜日に鎌倉浄明寺の奥へ。



さすがは7月後半。大気が激しく洗われ、太陽が顔を出せば肌を刺すような強い光が降り注ぎます。しっとりと濡れ、輝く緑の湿度に触れつつ、「sawvi 」の扉を数ヶ月ぶりに開きました。



イートインが再開し、またこの美しい空間で憩うことができると、椅子に腰掛けて悦びが湧き上がってきました。



湘南の光を熟知した建築家の設計。裏の竹林をはじめ、周囲の植物越しに繊細な光がそっと差し込み、室内に心地よい陰翳を生みます。そのかすかな光のトーンを眺めているだけで心安らぎ、いつまでも過ごしていたくなる気持ちになります。




雨が残る土間の木戸。水滴を通る木漏れ日が地面に詩的な絵画を描いていました。



繁るグリーンが視界を占める大きく透明な窓。



置きかたがいちいち絵になるから、あれこれスナップしたくなります。ペレットストーブに載るのは米粉の自家製クッキー、見返しながら、これも買えばよかったと後悔。



2つの食べたいものがありました。まずは先日から始まった『糀屋の氷菓子』。


今は夏場のフルーツの王様である桃をコンポートにしてかき氷に丸ごと1個分添えています。桃の品種は季節によって変わり、「あかつき」や白桃(はくとう)系の「清水白桃」を中心に、大きさもだいたい14号、15号の大ぶりものを必ず選ぶようにしているとか。そのため桃だけでもかなり満腹感が出ます。



大きな桃を丸ごと1個食べられるだけでなく、生姜のコンポートを付け合わせているのがポイント。これには6種類のスパイスを使用。クローブ、スターニス、シナモン、ローリエで香り付けをして、ブラックペッパーと鷹の爪で辛味を出し、甜菜糖で煮込んでいるのだそう。


氷を食べるということで内臓が冷えちゃうので、少しでも温めるために生姜のコンポートを添えていますと店主の寺坂さん。かかっている白いソースは優しい甘さに心緩む甘糀。そして、メインの「かき氷」には氷をいっさい使わず、牛乳ベースの生クリームとヨーグルトで味を深めに出し、さらにコクを出すために少し甘糀と砂糖をプラス。単体で食べてもいいスイーツとしてかき氷を作っていて、溶けて牛乳に戻ったら、生姜と桃を足してあげると定番メニュー『甘糀のジンジャーミルク』のリッチ版に。ドリンクとしても楽しめるというわけです。ゆっくりゆっくり1時間ぐらいかけて味わうと、時間ごとにかき氷の様相、食感が変わって最後まで美味しくさまざまに楽しめるのが魅了です。ゆっくりふわっと溶けていくのが氷ベースのかき氷との違い。


8月末くらいに桃が小ぶりになってきたらやめるかもしれないそうですから、SNSでのお知らせで状況を確認しましょう。税込1,200円。こんな美味しく洗練された氷菓子、日本はもちろん、雪状氷菓の本場、台湾でも口にできないと思います。


9月に食べられるシャインマスカットの氷菓子も楽しみで仕方ありません。




食のほか、多方面への探求が広く深い寺坂さんとの会話に時を忘れて、いつも刑事コロンボ並みに質問攻めしちゃう。たくさんお喋りして心身がリラックス。



2つめの目当ては『大豆のコロッケ』のテイクアウト。福井県産の蒸し大豆『里のほほえみ』と粗挽きした豚肉を塩麹のみで味付けした、糖質や脂肪分を抑えたヘルシーでボリューミィな惣菜。つなぎに卵も使っていないそうですよ。それでいてぼくは昼に2個食べて夕暮れまで幸せにお腹が満たされました。鎌倉の名店「三留商店」の薬膳ソースも付いて4個で税込1,000円。ここでしか買えないオリジナルコロッケちゃんです!


あっ、そうそう。氷菓子、大豆コロッケとも前日までに要予約です。


LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. / f1.4

MACRO ELMAR90mm / f4