温帯、亜熱帯、寒帯。多様でハードな海での取材で頼りにしてきたパタゴニアのウェア。30年近く使い続けている製品ばかりだけど、唯一不満なのはレインウェアの耐久性。自身の扱いの問題かもしれないけれど、さまざまなものをまとってきて防水と透湿を兼ねた素材は数年内に剥離して本来の機能を全うできなくなった。鎌倉のリペア部門も生地や縫製部の圧着シールの剥離への修繕は非対応とある。消耗品として高価な製品を買い直すしかないのか納得できないでいる。昨年から展開しているパタゴニアのワークウェアシリーズ。防水服の耐久性はどうなのだろうか。
目下、気になっている『ホーズダウン・スリッカー・ジャケット』をSHO FARMで見かけ、ユーザーである農業主・翔さんの感想を聞き、手にして細部を見て直感的には長年の不満を解消してくれるのではと援農まかないランチを味わいながら期待を抱いた。
汚れと濡れから身体を護る。それだけに目的を特化して、ポケットなど余計なパーツを廃しているのが佳い。透湿性は無い素材だから使う場面は限られるだろう。そんな道具に徹したトンガったウェアなのがらしくて惹かれる。ただ、防水処置の要は他製品と同じく修繕不可な圧着シールだし、お揃いのビブと合わせて4万円を超える価格が痺れる。やはり消耗品と割り切って漁業用の手頃な、無骨な合羽を選んだ方がよいのか。自身の主用途は豪雨時のバイク移動着なのだから。それにしてもこの宇宙服みたいなオレンジ色は格好いいなぁと物欲と自制のあいだをグルグル中。
SIGMA DP3 MERRILL75mm / f2.8