横須賀での早朝バイト後、久里浜港へ直行。9時出航のフェリーにクロスカブとともに乗る。
横須賀米が浜通の名和菓子店「伊勢屋」で稲荷を10個買い、船内でシートに深く腰掛け、曇天の東京湾口を眺めながら平らげた。至福のひととき。
対岸の金谷から強い潮風を受け流し、南房総の海岸線を南下。30年前は毎週末、佃島の実家から通っていたルート。道端の建物や風景は全く不変で、時が止まっているかのよう。郷愁の想いと真冬の寂寥感が心に沁みる。まず目指すは館山の沖ノ島。途中、雨に打たれたが、島で波打ち際に無心で眼を向けているうちに青空が顔を出した。
サンゴのかけらがたくさん打ち上がることから、黒潮の気配を感じ、海底の様子が眼に浮かぶ。イルカの骨も多数見かけた。
洲崎方面に移動し、Google MAPの航空写真で見当をつけていた静かな砂地のビーチを3箇所チェック。目当てのものは破片が多数打ち上がっていたので予想通り目前の海底に生息はしているのだろう。しかし、そのものの完体を手にするのは極めて困難だし、よほどの幸運が必要という真理に行き着き、諦められた。実際に現地を丹念に歩いて観なければ、そう自分を納得させられない。
一方で大きな気づきと収穫もあった。日本でトップクラスの捜索能力を持つ知人のビーチコーマーが館山の秘めたビーチで昭和初期の硝子瓶を次々と発掘していたが、そのビーチがどこなのか特定できたのだった。集中力を切らしていた心と眼だったが、それでも波の侵食と風、潮汐の働きで砂中から露呈したひとつの瓶が視界に入った。砂に摩耗した風合いが佳いパイロットの30ccインク瓶である。かつて海岸近くで燃えないゴミとして埋められ長年眠っていたのだと推察できる。底面の「石」という漢字の刻印をもとにインターネットで検索したら、瓶に夢中のビーチコーマーfujiさんの投稿により、当時は愛知県にあった有限会社石塚硝子製造所が手がけたものと判明。古い硝子瓶拾いは鎌倉材木座海岸で10数年前に熱中していたが、このインク瓶とのめぐり合わせは、その熱情を再熱させてくれたかもしれない。次はピンポイントでじっくり眼を凝らそう。秘密のビーチ再訪の昂りが押されられない。
LEICA M-E,SUMMILUX 50mm ASPH. / f1.4
LUMIX GF-1, LEITZ OUFRO+MACRO ELMAR90mm / f4