家を建てたとき、設計者の森さんの勧めで、玄関へのアプローチとなる小さな前庭にシンボル・ツリーを植えました。倉庫然とした武骨な白い家の雰囲気に合う木をと選んだのは、ヤマボウシ。森さんがよく利用されている鎌倉の小泉園で小泉社長に相談し、広大な敷地に植えられた多くの木々を見て回ったうえで目に留まった一本でした。
↑上の写真はライカとズミルックス、下の写真はDP3メリルで撮影。情感に心酔したいか、質感に重きを置くか、選択は迷うけれど、それぞれに好きな描写。光学設計者の思想の違いを楽しめます
植える日、小泉社長の弟さんが前庭の土を掘って「うぁー、この土は駄目だぁ」と悲鳴に近い声を挙げ、応急処置的に黒土を混ぜて土壌改良してくれました。植え終えて去るとき、悲しげな表情を浮かべていたのを覚えています。湘南の気候風土と木の相性を知りぬいたプロの杞憂に対して、土地と木の選択を誤ったのではと申し訳ない気分になったものです。しかし、雑草だらけの庭から立ち上がり、海風が当たる環境に耐え、植樹から約10年経過した今年もヤマボウシは可憐な花を開きました。その強さと美しさには心打たれます。荒波に翻弄されながらも、たくましく生き抜くこの木は、ぼくらの日常にポジティブな力をもたらす、とても大きな存在となっています。
LEICA M-E SUMMILUX50mm , SIGMA DP3 MERRILL
追伸:しかし、背景のまろやかなボケ具合は、やっぱりライカの方が素敵な気がします
追伸:しかし、背景のまろやかなボケ具合は、やっぱりライカの方が素敵な気がします