先月は2度、合わせて5時間近く、造形作家おおくぼともこさんからフィンランドの伝統装飾ヒンメリづくりを教わりました。大きな針にタコ糸を通し、麦わらをつなぎとめていく。基本形である正八面体をかたちづくる工程は、いたってシンプルなのですが、生来の不器用かつ呑みこみの遅い自分にはもっぱら、おおくぼさんの手助けなしには、前へ進むことができませんでした。しかし、さすがに2回目の学びの場では、流れを頭ではわかるようになり、なんとかベーシックなヒンメリを完成することができたのでした。
できあがったものを家の居間、南西からの光が射しこむコーナーに吊るして仰ぎ見て、おおくぼさんのヒンメリ教本を眺めて、しっくりとくる造形は、正八面体の基本のかたちであると感じられました。そこで、教わった手順を忘れないうちにと、日曜日の午後、ヒンメリ・スターター・キットをひろげて、ひとりでつくってみることにしました。
はじめは、手も心もこわばり、緊張からか、糸がからまってしまったり、繊細な麦わらのフレームを割いてしまったりと四苦八苦。けれど、正八面体を繰り返し立ち上げていくうちに、スムーズに手が動くようになり、肩の力もどんどん抜けていきます。気づいたら一辺が5cmの小さなものは数分でかたちにできるようになったのには、自分でも正直驚きました。
正八面体をどのように組み合わせるかは自由。その無限のパターンのなかから、自分の眼に心地いいと思えるものを選ぶのが楽しい、嬉しい。
窓辺では陽を受けて、白く発光しつつ、光のなかに溶けていくよう。その景色が暮らしに美しい彩り、温かみを与えてくれます。一辺の最大が20cmほどで、さほど大きなものではないのに、家の外から窓を見ると、そのシルエットがはっきりと視界にとらえられるのが、また喜ばしい。
何も考えず、心を真っ白にして純粋な気持ちで手を動かし、好きなかたちをつくる。達成感、充足感、いろいろな感情が昇華して、ぼくの心を平穏で満たしてくれます。今度の週末は、さらに上級のステップを目指すつもりです。
LEICA M-E SUMMILUX50mm , MACRO-ELMAR90mm