2015年6月26日金曜日

感光散歩


夏の喧噪がひたひたと迫る梅雨。犬の散歩でビーチに向かうモチベーションも下がり気味。気分をアゲようと、非日常的な撮影機材を携行。ハッセルブラッドでインスタント写真を愉しむための組み合わせ。精密機械が苦手な海辺で、リードを片手に撮影するのはかなり面倒。1枚1枚じっくりスナップし、フィルムに写し出す。マニアックな工程が被写体と向き合う時間を濃密なものに高めます。


愛想のない犬ですが、飼い主が撮影中はじっと我慢して、ひたすら待っている。互いの時間を認め合う関係が散歩に、ゆったりとした気分をもたらします。のんびりスナップしていたら、グレーの水平線から光が放射され、雲を劇的な色に染めていきました。


操作ミスや機械的なエラーで瞬時に消去される、はかないデジタルデータでなく、印画紙に犬の姿を残す。近頃、そう考えるようになったのは、一緒に過ごせる時間があとどれくらい残されているのか、せつなさを覚えるようになったから。出会いがあれば、別れもある。犬や猫とのふれあいを綴る本はきまってつらい結末。目にすれば涙が止まらなくなる。だから、なるべく遠ざけてきたのですが、古書店ウサギノフクシュウで、タイトルに縁を感じて買ってしまいました。『星になったチロ』(うちで飼っていた猫もチロ。犬の名はその名から派生したコロ)。店主が小学生のころ、話題になった本なのだとか。はたして読後、どれくらい涙することになるのでしょうか。

iPhone6、LEICA M-E SUMMILUX50mm