2017年10月4日水曜日

イランのワイングラス


狂おしいほどの物欲に胸が熱くなる店がまだ東京にはある。欲しいものばかりできっとヤバいですよという友人Tさんの進言通りの、自分には危険極まりない店の訪問を果たした。「グランピエ」は諸国民藝の店。青山キラー通りのヴィンテージマンションの1階中庭を中心に品目別の売り場とギャラリーが並ぶ。外国の市場にありそうな雰囲気の空間感だ。40年以上前から京都店と同じくアジアやヨーロッパ、中南米などの素朴で健やかで美しい手仕事の工藝品を扱っている。どれもこれも欲しいと目が泳ぎながら、限られたおこずかいで1つだけ買い物した。イランの手吹きガラスである。ひとつひとつ高さや径が違う大らかなかたち。こんな佳い意味でいい加減な仕事ができる工人は日本では小谷真三さんや太田潤さんくらいだろうか(小谷さんや太田さんはひとりで制作するが、イランは3人で共同してつくるそう)。厚みもあって脚も太く、どっしりとした安定感、規格化された工業製品にはない愛嬌がある。上質なワインの繊細な味わいを愉しむには適していないかもしれないけれど、日用品に気兼ねなく使える安心や長く愛用できる丈夫さを求める自分にはこのうえなく理想的。デザインはこんな感じでとグランピエが特注したのだという。


手吹きガラスの温かみを一脚1,500円(税込)で買えるし、定番製品として店に常時ストックされているようだから、あとで買い足すのも容易だ。こんな気楽な工藝品が僕は大好きだ。これなら家のダイニングはもちろん、アウトドアにも積極的に持ち出すことができる。寒くなる前に、海や山でワインを呑む機会を設けて使ってみたい。

SIGMA DP3 MERRILL 75mm f/2.8