2017年12月6日水曜日

冬のパンツ


真冬の街がまるで春に感じられるパンツが欲しくて、北米の人から極厚ウールパンツを譲ってもらった。「ウールリッチ」の旧製品。30年前は日本橋の路地裏で「DAVOS一号店」がふつうに扱っていた武骨な一着。ヴァージンウールのブランケットに包まれているような温かさ。北風も朝晩の冷え込みも肌には届かない。東京や葉山の気候では過剰な温かさかもしれない。20数年前、神保町「MAINE」で求めたフィルソンのサスペンダーで吊るし上げて着ると、西部開拓時代の荒涼地を旅する不思議な既視感を覚える。体を護る重要な道具として服に感情移入できる。こんなヘビィな服が日常着としてラインナップする国。大西洋岸の上の方や内陸部の真冬はさぞ過酷な寒さとなるのだろう。用から生まれた必然的な物にぼくは惹かれる。

SIGMA DP3 MERRILL 75mm f/2.8