2020年3月29日日曜日

ライカM5



神宮前に事務所を構える旧知のアートディレクター坂井さんからライカのフィルムカメラM5をお借りする。



大きくて重いボディは自分の手にはよく馴染み、安定して構えられる。ファインダーも四隅まで見やすい点も驚いた。この無骨なフォルムがたまらないし、坂井さんも君に似合っているねと言う。



内蔵露出計はある程度の目安にはなる。事務所周辺を散歩して、いつも目に留まるものをスナップしていった。車の淡い緑色をコダックのネガフィルムは絶妙に描く。現像の仕上がりに魅せられ、何度も眺めている。穏やかなコントラスト、色合いが心眼に優しい。デジタル画像ではパッと見の華はあるけれど、こうまで見入ることはない。



植物に覆われたショップ。濃淡の階調豊かな緑の表現に胸がキュンとなる。



シャンデリアが洒落ているアトリエっぽいアパートを見つけた。創作の街への憧れを古いフィルムが細かな光の粒子で甘く描いてくれた。



青山通りに出て「Found MUJI」を覗く。今は竹をテーマにした品揃え。中国雲南省か貴州省の竹製品だろうか。許可を得て、非売品も交えたディスプレイを撮る。フィルムもレンズも1本だけ。あえて予備は持たない。そうして眼を凝らして好きなもの、情景を探すと、場の光や温度も身体に染み入るように記憶できる。フィルムカメラならではの愉しさだと思う。

LEICA M5 , SUMMILUX50mm ASPH. / f1.4 , KODAK PORTRA160NC