2021年5月2日日曜日

新しい庭師



厳格な職人である親方に叱咤されながら庭師としてのスキルを実践的に学び、身につけていく日々。先日は新たな講師がケアツリーというロープワークを駆使した新時代の植木仕事スタイルを披露。興味津々に観て聴き入った。山口篤則さんは横浜日吉で造園業を営む社長。


高性能な器具を駆使して高木に昇り、伐採や剪定などを行う特殊技術を備えている。ロープとそれらの器具により樹上で安全を幾重にも確保し、両手で効率良く作業を進める仕事術は従来の庭師の手法とは異質のもの。その優れたテクニックと大木と向き合う先進的な心構えに強く魅せられた。


山口さんは耐久性と運動性の両面から庭師の象徴ともいえる地下足袋ではなくゴアテックス素材、ソール交換可なクライミングブーツを履く。頭と顔を保護するヘルメットはオーストリア製、カラビナや接続器具はウェールズやイタリアの専門メーカーの製品。高価だけど性能もすごく佳い。稼いだお金はそうした道具の購入に消えてしまうと笑う。自身の生命を護る道具に妥協しない態度にも惹かれた。ぼくもかつてハードな海の仕事をしていたとき北米の小さな専門器具メーカーが造る道具に何度助けられたことか。


来年1月から高さ2m以上の樹木上での作業をする庭師は安全性向上のためフルハーネスという器具の装着が義務化される。それに伴い樹上からの落下で死亡事故が多発しているこの職において身を護る意識のみならず、仕事のやり方も様変わりするかもしれない。山口さんのスタイルからは新時代の庭師を想像し、その方向に進みたいと感じた。土曜、日曜は青梅の「アウトドアショップK」に立っているという山口さんを訪ね、講習を受け、道具選びの助言をしてもらうつもり。

LEICA M-E, SUMMILUX50mm