2015年12月27日日曜日

リサーチの愉しみ


先日、骨董市で入手したイランの古い吹きガラス瓶についてリサーチ。雑誌民藝344号で解説されていると知り、バックナンバーを民藝編集部にオーダー。これがどんな民具だったのか、骨董業者の多くが首をかしげる工藝品。その解答は明快に、詳細に、瓶のバリエーション写真とともに記述されていて、知識欲が深く満たされました。知識を得たことで、瓶とのさらなる出合いへと導かれていきそうですが、かたちの良さをとっさに見抜く、直感を第一に磨いていかなくては。


こうして愛着を増した瓶の素朴な風情と色合いを日常的に愛でたいとも考え、小さな灯りでほんのり照らそうと、今度は電球に関して徹底的に調べます。照度、照射角度、色温度、発熱度、周辺機器への影響(LED電球)などもろもろ性能を調べ、結局、家にあった白熱豆電球を選択。調査過程で色味だけでないLED電球の課題を知ることもできました。


20年ほど前、新宿区下落合のデザイン事務所内、ヴィンテージ・グッズコーナーで見つけた国籍不明なロウソク型照明器具に、黄色いシャンデリア電球をセット。瓶のフォルムを静かに浮かび上がらせます。間接照明の淡い光、白熱電球の暖色になごみます。


イメージは日没直前の太陽。この温かみのあるオレンジを再現できる人工照明は、今のところかなり限られているようです。例えば、このようにリサーチと試行を重ねて希望をかなえることに、ぼくは至上の悦びを感じます。つくづくマニアックな男だと自認しています。

LEICA M-E ,  MACRO-ELMAR90mm , SUMMILUX50mmASPH.