2016年1月15日金曜日

洋書の基本



洋書の写真集をときどき求めます。インターネットがない時代には都内の洋書専門店を覗いてはすべてのページをめくって、本当に欲しいと焦がれるものだけをレジへと運んでいました。今は北米やフランスのamazonや欧米の版元直販によりレアな洋書も極東の島国から手軽にたぐり寄せられる。けれどそのぶん買い物は軽率に。ときには想像とまるで違うページ構成や印刷品質に戸惑い、自分への「投資」のはずが「散財」となり、深く後悔。そんな自分の軽率さを反省し、南青山キラー通りの路地に佇む「shelf」へ。20数年ぶりの訪問。特価本を軒先に並べ、抜群のセレクト・適正な価格で写真集・アートブックを揃える。店の雰囲気は不変。「shelf」やその近くの「on sundays」などで先端カルチャーに触れてときめいた90年代の高揚感を懐かしみます。


ヴィム・ヴェンダースの『EINMAL』は22年前に購入。表参道でアートディレクションの仕事をしている友人の仕事場で見かけて一目ぼれ。映画のロケハンなどのため、主にライカの35mmレンズで撮影した街や人の風景写真が300点も収まる。「shelf」にあるのでは?と聞き、すぐ店へ。幸運にも書棚でこの本を見つけられたときは小躍りしてしまいました。

右は先日の再訪時、扉を開けていきなり眼が合ったイタリアの写真家ルイジ・ギッリの『KODACHROME』。みすず書房刊『写真講義』の理知的で示唆に富んだ写真技術論に深く共感。以来、彼の作品をたくさん観たいと願っていただけに、このめぐり合わせに縁を感じつつ興奮。しかも今は入手しづらい本。買う気はマンマンですが、まずは心鎮めて中身をじっくり確認。そうして完璧に納得の上で買えたのはオンライン・ショッピングではなく、リアル・ブックストアだからこそ。


1978年にギッリが自費出版していたものを英国MACK社が復刊。世界一美しい本をつくるドイツの出版社「Steidl」にてディレクターを務めていたMichael Mackさんが独立。ロンドンを拠点に興した会社なのだそうです。そのキャリアを裏付けるように印刷の質がきわめて高い。オリジナルに忠実な新判ですが、当時にはない最新技術を活用したのだとか。個性的なブルーの表現をするポジフィルムの色合いと透明感を存分に楽しめます。



余白あるレイアウトと身近な題材をさりげないウイットとともにとらえた写真がいい。


どの写真も色の選択、画面構成がじっくり練りこまれている。


『KODACHROME』を手に、携行する弁当をどこで食べるかキラー通りをうろうろ。緑が多く残っている地域というイメージがあったけれど、公園は意外と少ないなぁ。


結局、神宮外苑の銀杏並木周辺まで足をのばすことに。1億5,000万年前の恐竜時代から広く分布していたという銀杏。黄葉の落ちた樹が剣のごとく空に突出。その原始的フォルムが地球最古の植物であることを如実に伝えてくるよう。ギッリ本の影響を早速受けたのか、被写体への深い観察を喚起されたようです。

LEICA M-E , MACRO-ELMAR90mm