2016年5月27日金曜日

黄色いカップ



南欧の眩い太陽を想起させるような黄色の焼き物が好き。ガレナ釉という黄色い釉薬で彩られた2つのカップは島根県湯町窯の陶工であり、日本随一のハンドル(持ち手)付けの名手、福間琇士さんが制作したもの。たまたま湯町窯の仕事についてお話を鎌倉「もやい工藝」の久野恵一さんから伺っていたとき、テーブルの脇にディスプレイされているのを見て一目ぼれ。両方とも購入しました。手前はコーヒーカップ、奥がティーカップ。それぞれの皿の深さや縁が微細に違う点にも魅せられました。カップの大きさ、かたちに相応しているものなのでしょうが、差異にどんな意図が含まれているのか、つくり手に尋ねてみたくなります。単に機能的なことだけでなく、造形バランスという審美の心がかたちに表れているのでしょう。湯町窯といえば、一般的にガレナ釉の人気が高いようですが、久野恵一さんは品の佳いブルーの海鼠釉の方を好まれていました。10数年前の自身の嗜好では断然、ガレナ釉でしたが、今は海鼠釉の方により惹かれてきています。眼が変わってきたのかもしれません。日本特有の青に眼がいく感受の変化をわりと好ましく受け止めています。


SIGMA DP3 MERRILL