2016年7月15日金曜日

ここは布哇



相模湾を望む国道134号線の葉山町と横須賀市秋谷の境あたり。海に突き出た長者ヶ崎から峯山にかけての一帯には特別な風が吹き、陽光が差しています。真冬でも海を渡る風は暖かで、光も眩いほど強い。きわめて限られた範囲で、スポット的な気候風土を形成している。たとえばオートバイで葉山から走行し、このエリアにさしかかると、空気の変化を如実に感じることができます。潮風にさらされるから、本来はじんめりした湿度とこの島国特有の匂いを感知するはず。しかし、一帯では太平洋に浮かぶハワイのように乾いた爽快さに包まれる気がします。




そうした風と光、空気が海底も含め、周辺の地形がもたらすものなのかはわかりませんが、ここはハワイとつながる異空間ではなのかもしれない。そうはっきり確信したのは数年前、オアフ島のカハラからダイヤモンドヘッドへ、海面まで高低差のある海辺の道を歩いていたとき。肌で感じる光、風、空気のみならず、景色もまるでそっくりだったからです。




沖合まで浅瀬が続く海には岩礁が多くひそんでいるから、かなりの確率で大きな周期のうねりとライディングにうってつけの波が寄せてくる。先日は梅雨の雨で浄化された空気越しに夏富士が幻想的に出現。富士山と長者ヶ崎とサーファー。洋画家であり、自然への崇高な心を木版に刻んだ吉田博がモチーフにするような風景に心奪われました。

LEICA M-E , MACRO ELMAR90mm/f4