2016年7月7日木曜日

日本の手仕事をつなぐ旅②



手仕事フォーラムHPの連載記事「Kuno×Kunoの手仕事良品」から、全国12箇所の陶工と焼きものを選んだ本「日本の手仕事をつなぐ旅 うつわ②」(グラフィック社)が発売されました。鎌倉「もやい工藝」で店主であり、手仕事フォーラム代表だった故・久野恵一さんのうつわをめぐる旅を追体験できる内容。すべての焼きものを再撮。その雰囲気のよい静謐な写真が素晴らしい。HPに連載した物より、さらに佳き、古い名品を手仕事フォーラム・メンバー横山正夫さんの協力を得て撮影手配された編集者・笠井さん、物を集めた恵一さんの長男であり、現・店主の久野民樹さんの仕事に感服します。焼きものに詳しくないビギナーでも専門用語が理解できるよう、ていねいな注釈が加えられているのも素晴らしい! 




個人的には、中井窯の染め分け皿のページに見入ってしまう。柳宗理さんが当初指示した工業デザイン的な釉薬の塗り分けと、その後、宗理さんに民藝的な美の眼識が備わってからの指示の違い。その歴然とした違いを久野恵一さんから説明されたとき、民藝の美とは何か、はじめて具体的に感受できた気がします。そのときの感動が忘れられません。「識るな。眼で感じよ」と説く民藝の教え。遥かなる高みに思えた美の道がおぼろげに見えてきたはじめての瞬間でした。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm/f1.4 ASPH.