2016年8月14日日曜日

BEAMS JAPANの新宿百景


お盆直前の都内。会社員の姿はまばらで、観光客が目立ち、町もヴァカンスムード一色。そんな気だるい空気をかき分け、新宿での打ち合わせに向かう前、BEAMS JAPANに立ち寄りました。全国を駆け回り、MADE IN JAPANのプロダクツを発掘、あるいは別注でオーダーしているBEAMS社員の友人Sさんが投稿したインスタグラムにて、気になるイベントの開催を知ったからでした。FUJIFILMのインスタントフィルム・カメラのチェキ「instax mini 90」と「instax wide300」を手にした森山大道さん、茂木モニカさん、塩田正幸さん、3人の写真家が新宿をスナップ。そのフィルム写真をBEAMS JAPANの1階で展示し、撮りおろし写真を印刷したタブロイド写真集を配布しているというのです。


 森山大道さん34点、茂木モニカさん33点、塩田正幸さん33点、計100点のチェキ写真(プラス2点の写真、正確には102点)をシンプルにレイアウトしたタブロイド写真集はなんと64ページ(4折)のボリューム。写真には余計な文字がかからずキャプションは添えられず、最後のページにそれぞれの撮影場所と使用カメラがまとめて掲載される構成。




ホチキスなどで製本されていないので、お気に入りの写真があったら、そのページをすぐに壁に貼ることができちゃうという感激のタブロイド。こんな立派なものを無料でいただけるなんて! 写真によっては大きく拡大されることで新宿の妖しい光景が強調されます。インスタントフィルムの粒状感、味わいはスマフォ写真とは異質なもの。いちばん上のようにスキャンして拡大すると画質が劣化。その粗いおもむきが面白い。つい先日、心を奪われた猪熊さんのタブロイド新聞もそうですが、今後はラフな用紙にあえて写真や絵をプリントして、身近なアートとして提示するメディアや手法が増えてくるように思えます。印刷物は基本的に4色の掛け合わせで表現されますが、微細な多色づかいが可能なインクジェットプリンターなら、表現の奥行きはさらに広がるのでは、とワクワクしてきました。家庭用プリンターに対応したタブロイド用紙についてリサーチしてみよう。


展示・配布会場ではチェキを試し撮りして、写したフィルムは持ち帰りできます。 ポラロイドより気軽な感じ、スマフォ感覚でパシャパシャ撮れて、撮影画像が徐々に現像されていくスローなインスタント写真の特性も堪能できます。ふだんの自分は、昼と夜間の屋外、あるいは暗い室内でもフラッシュを使うことはまずないのですが、このカメラは昼間でもフラッシュを積極的に光らせることで街にうごめく暗部を拾いだす効果があり、それがカメラの個性を引き出すように感じます。使っていて、とにかく楽しい。これで近頃惹かれる新宿の、自分なりの「好き」を記録し、写真日記にまとめてみるのも一興。チェキ、かなり欲しくなりました。

FUJIFILM INSTAX MINI 90(SCANNING BY SNAP LITE)
LEICA M-E , MACRO-ELMAR90mm/f4