2016年8月22日月曜日

パタゴニアのバギー・ショーツ



パタゴニアの定番商品として売られ続けているバギー・ショーツを5着持っています。いずれも1990年代に購入したもの。南北の太平洋、南シナ海、インド洋、バリ海、紅海など世界中の海を取材する旅で身に付けてきました。さまざまな海水に浸り、色はだいぶ褪せてきましたが、まだ補修の必要もなく、履くことができます。20年、30年以上履いているユーザーも少なくない生地や縫製の頑丈さ、普遍的なデザインと機能性がパタゴニアのものづくりを具現化しているようです。




このショーツの存在を知ったのは1990年に発行された「シー・カヤッキング・イン・ジャパン」(CBSソニー出版)にて。著者である海洋ジャーナリスト、シーカヤッカーの内田正洋さんがシーカヤックによる遠征旅や横須賀秋谷のビーチサイドでの暮らしで愛用し、厚い信用を寄せる道具(エクイップメント)を選び、洞察の深いテキストとともに紹介する項目がありました。ウエアに関してはパタゴニア製品が選択のなかに多く選ばれ、内田さんの活動とライフスタイル、格好よさ、物選びの確かな眼に魅せられていたぼくは、真似して同社製品を求めるようになったのでした。内田さんが海や島、日本の海岸線と外洋をめぐる旅だけでなく、一年中365日履いているというのが、このバギー・ショーツ。海でのアクティビティはもちろん、ランニングやクライミング、あらゆるスポーツに対応し、ふだん着としても使える万能ショーツであるとは頭ではわかっていたものの、内田さんのように毎日常用するほどには、この夏を迎えるまでいたっていませんでした。

スキューバダイビングやシーカヤックの雑誌・書籍づくりの仕事、あるいは趣味から離れるようになるとバギー・ショーツを履く機会は激減。箪笥に仕舞ったままになっていたショーツを盛夏の蒸し暑い日にたまたま取り出して履いたところ、あまりの心地よさに驚きました。スロージョギング効果でスリムになった体型にはすこしサイズが緩くなったものの、そのゆったりとした裁断が空気の通りをよくしてじつに涼しいのです。改めてこの製品の高い機能性に惚れ直し、家では肌身離せないウエアとなりました。また、スロージョギングでも専用に開発された肌に密着するショーツではなく、このごろはむしろ家で履いていたバギー・ショーツでそのまま走りに行くように。腰まわりのフィット感が緩く、ときどき紐を結び直す面倒はありますが、風の通りが抜群で、ぼくのようにゆっくりとしたペースでの移動ではまことに具合がよいのです。5着もあるので買い足す必要はなく、たぶん生涯、自分が愛着していくだろうなと、ますますパタゴニアへの情愛を深める夏となりました。

LEICA M-E , MACRO-ELMAR90mm/f4