2016年8月29日月曜日

FARM CANNING



ほぼ週末のたびに、食材を入手しにジョギングで向かっている農園「パラダイス・フィールド」。おいしい無農薬野菜を必要な量だけ自ら収穫できる画期的な仕組みに感嘆。畑を利用するだけでなく、この農園を軸とする普及活動にも興味を覚え、代表の伊藤さんにお願いしてblog用の取材を受け入れていただいています。先日はたまたま近隣に暮らす西村さんが主宰する「Farm Canning」の集まりがありましたので、どんなことをされているのか見学させてもらいました。



集まりのフィロソフィーはいたってシンプルです。「おいしい」の根っことつながる悦びを実体験すること。愉快な仲間と土に触れ、おいしい野菜を自分の手でつくり、しあわせな気分になること。人によってはそこから先に進み、野菜や果物を庭やベランダの限られたスペースでつくるノウハウを学び実践する人、とれたての野菜を活かしたレシピをさまざまに編みだしていく人、農業に深く関わっていきたいと考える人などなど。この畑に都会や近隣地域から集まり、土や植物に触れたいと願う気持ちの根底には多様な考え、思いがあるようです。




自身で仲間とともに土から耕し、作物を育てていく。そして、それを摘み、その場で食べる。スーパーで売っている野菜、果物を買うのとは次元の違う食物との接しかた。そのことに深い充足感を参加者の皆さんの表情からこぼれていました。じつはこの集まりを接見したのは2度目。わずかな機会ではありますが、いろいろな考えで土にふれる人が等しく愉しんでいて、気楽に参加できているのが魅力ではないかと。そう気づきました。






ハーブ類も多く植えられているのは一般の畑との相違点。食べたいものを自分でつくるのです。サインも洗練されている。



自分たちの畑で収穫する人、収穫物を保存できるよう調理する人、保存瓶を煮沸する人、畑の野菜たっぷりのサラダやスープを準備する人、土木作業にあたる人など、役割分担して、自分のできることを無理せずに取り組みます。






また、いったん分担はするものの、そのときどきで手が必要な作業を気づいた人が補っていく。そうして、ぜんたいの流れがおだやかに、スムーズに進んでいきます。東京など遠くから来ている人も多く、用事のある人は途中で帰ることもできます。誰にも強制されない、自由でゆるやかな場の雰囲気がとてもいいなぁと感じました。




その雰囲気づくりの中心にいるのが、西村さん。にこやかに、てきぱきと指示しながら、参加メンバーを牽引しています。笑顔が眩い素敵な女性です。




この日の目的のひとつは、畑で収穫したセロリとトマトを瓶に詰めてピクルスにすること。






瓶はあらかじめ熱湯で殺菌します。ベルリン出身のラウラさんが黙々と作業。




もうひとつのつくるものは、イチジクのコンポート。材料となる果実は畑から遠征して葉山上山口の旧家の方の樹から収穫させてもらいました。付近には棚田もあり、葉山のマウンテンサイドでも農業がさかんな場所です。畑だけでなく、地域全体に協働活動を拡げていきたい。それが代表、伊藤さんの願いなのです。





オオスズメバチがぶんぶん実のまわりを飛来してくるなか、刺されぬよう用心しながら、熟した実を摘み取っていきます。収穫をになうのは女性ばかり。収穫に適したものへの眼差しの強さは、種の根源的な本能なのか。女性の生命力はほんとうにすごい。






十分な量を集められました。イチジクの葉は料理にも使えるそうです。西村さんがバークレーのオーガニックレストラン「シェ・パニーズ」で魚をこの葉で包んで蒸した料理を口にして、そのおいしさに感銘を受けたのだそうです。






イチジクのコンポートができあがり。彩りがきれい。




ランチに出すスープづくりも進みます。具材はこのコリンカボチャと冬瓜(夏野菜です)、ジャガイモ、ナス。左は農園スタッフの安藤さん。きめ細やかな気配りをする方で、その性格が美しく整えられた畑にもよく表れている。ぼくは安藤さんのつくる野菜のファンです。




野菜のうまみがたっぷりのスープ。滋味深さに感動しておかわりしちゃった。




コンポートにするイチジクが余ったので、食後のデザートとして供されました。実家にイチジクの樹があって子どものころ、祖父が摘み取っては食べるよう勧められたのですが、このツブツブなビジュアルが苦手でした。この日に人生初の生イチジクを口にして、やさしい甘さに驚きました。食べず嫌いだった昔を後悔。





ランチのサラダ。サラダ菜にキュウリ、ビーツ、ルッコラを盛り合わせ。もちろんすべてマイ畑で収穫してきたばかりのもの。




同じくメンバーが育てるナスタチュームとマリーゴールドの花を彩りとして添えます。こんなサラダ、そうそう食べられませんよね。たっぷりいただきました!

西村さん、伊藤さん、ポジティブな元気をたくさんいただき、ありがとうございました。翌日、なんだかちょっとだけ他人に対して寛容になれる自分に気づき、それはみなさんの「気」に触れたのが要因なのかも、なんて思いました。機会がありましたら、またぜひ覗かせてください。

これまで撮影させていただいた写真も、なにか必要がありましたら自由にお使いくださいね。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm/f1.4 ASPH.