2016年9月14日水曜日

南房総 パラダイスな遠足/真空管レストラン




鮮烈なキャラクターと場所に出合えたとき、その旅は生涯忘れえない思い出となります。館山駅近くのレストラン「コンコルド」と、その店主であり、真空管アンプ制作者の佐久間 駿さんが、自分にはまさにそんな空間と人物でした。



店に入るなり、趣味を極めた濃密で深い空気感にふれ、ゾクゾク、ドキドキ。おりしも大好きな一曲、コルトレーンとハートマンの「my one and only love」が真空管の温かみを帯びながら耳に届く。その艶やかにして、まろやかな音の快楽にいきなり溺れます。




オールド・ノリタケのカップ&ソーサを手にひとやすみ。ブルーとターコイズ、自分好みの色が合わされ運ばれてきたことに、めぐりあわせを感じたりして。




午後3時すぎ。照度を抑え、白色燈でほんのりオレンジに照らされた室内に、光が美しくさしこんでくる。その光の情趣にまた見惚れます。




佐久間さんの許可をえて、佐久間アンプの数々をスナップ。




この無機質な眺めには、わけもなく心躍らずにはいられない。真空管アンプの世界では伝説的人物。いまも、雑誌無線と実験 MJ」に自作アンプを定期的に掲載されているそうです。







絵になる風貌と姿の佐久間さん。おもわずパチリとせざるをえない。






音楽への嗜好と、自分なりの真空管アンプへの思考を著した本のほか、youtubeにもたくさん映像がアップロードされている。なかにはカラオケで唄うシーンも。ファンがとても多いのでしょう。




この日も常連と思われる3人の男性がカウンター席でなごまれ、佐久間さんとの会話を愉しまれていました。佳いオーディオとライカはシンクロする部分が多いけれど、お客さんの前には小さなライカCLと、ライツ時代の渋いLマウントレンズが。70数年前に製造されていたズミタール50mm。「これは沈胴式ですね?」「じつはエルマー50mmももってきていまして・・・」なんて、ひとことふたこと言葉を交わしただけで、初見のお客さんといっきに距離を縮められる。あぁ、落ち着くなぁ。ファーストコンタクトで深淵を覗く。家の近所にコンコルドがあったら、ビールを呑みに通ってしまうでしょう。

それにしても自分でも驚くほどの、ディープ空間に馴じむまでの速さ、滑らかさ。おじさんになってヨカッタ。

素晴らしき出合いを導いてくれた友だちに深謝です。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm / f1.4 ASPH.