2016年9月19日月曜日

夜の築地散歩


仕事場から取材用備品であるコシナのスーパーワイドレンズを借りて、夜の築地を散歩。


ライカのISO感度を1600まで上げて手持ち撮影。しっとりとした暗がりの路地にレンズを向けます。久しぶりという9月15日の十五夜。特別な月明かりで、夜の情景をどこまでスナップできるのか。ふと試してみたくなったのは「かつ平」の主人から「このあたりは、夜はまた違った雰囲気になりますよ」と聞き、その違いを確かめたくもなったから。


江戸趣味の町家や、銅板張りの看板住宅。


瀟酒な建具がつややかに浮かぶ。いいねぇ。江戸の町に迷いこんだ気持ちになります。池波正太郎が銀座での映画試写の帰り、この界隈を散策していたのは、こういう風情に惹かれていたんでしょう。しかし、古き佳き建物の情趣を内側から愉しめるのは住民だけ。


ビジターがその内部からじっくりと空間感に心酔できる空間は限られている。鉄板焼「kurosawa」は数少ない築地の民家レストラン。まずは外観をjpegモード、彩度をヴィンテージモノクロに設定して撮影。古い木造建築には「らしい」色合いになるのでは。


以前、社長のご馳走で、この店のランチをいただいたときは、建具や照明器具など、同じ区内、佃島の実家にあったものと共通するインテリアを見いだせて感激。演出ではなく、大正、昭和初期の世界が見事に保持されています。こんな上手な建物の活用が難しい状況だから、なおさら記憶の美化が増幅されて、胸が熱くなりました。

LEICA M-E , SUPER WIDE-HELIAR 15mm / f4.5 ASPH. type2