2016年10月24日月曜日

三浦ストアのジャム瓶


毎朝、パンを食べる自分としては、ジャムが空になった後のガラス瓶の廃棄が面倒でもあり、もったいないなぁと思っていました。繰り返し使える硝子瓶で、美しいかたちのものがないか。そんな願いをかなえる理想の瓶に出合うことができました。三浦ストアの店主、高梨さんが鎌倉もやい工藝を通じて、沖縄・奥原硝子にオーダーしたオリジナル品。再生硝子を吹いた瓶は、ぽってりとした厚みが愛らしい。ジャムを補充、すくいやすい使い勝手のよさを、簡素なかたちで結実させています。三浦ストアではチューブに収まる補充用ジャムも販売していますから、今後は瓶を捨てる悩みから解放されます。三浦ストアのジャムは保存料などを混ぜない無添加製品ですから、長期間の保存には向きませんが、三浦市で採れる野菜や果物をフレッシュに味わえる。その旬のおいしさを、野菜や果物の持つ温かみのある色彩を、この瓶は美しい佇まいでテーブルにもたらしてくれるのです。

高梨さんがいろいろと見てきた佳きかたちかたちがアイデアの素にあるのでしょう。この瓶は奥原硝子の製品であるタルぐい呑みに蓋を付けるイメージだったそうです。その蓋に付くつまみは、メキシコやイランの素朴な吹きガラス容器を想起させますが、佳き諸国工藝をさまざまに見てきた眼の作用も働いているのかもしれません。用途としては、ジャムを保存するというよりは、使いきりの量をテーブルに出すためのものだそう。それゆえの大きさであり、使いやすいかたちなんですね。日用品として日々使うのに役立ちながら、ただ眺めても嬉しい存在。瓶に朝の光が透過する景色を観てみたくなります。


そうした美意識は店の什器からも見て取れます。上は高梨さんが自作した棚。李朝の古いものから着想を得たそうです。民藝の美、素材、高い技術、伝統的な造形を現代の用に合うようアレンジしていく。そのセンスと実行力をもつ高梨さんから、いろいろ学び、注目していきたい人と空間なのです。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm / f1.4 ASPH.