2017年2月10日金曜日

フィルムを携え走る


ズシリと重い、鉄の塊ライカFLEX SL。ちょっと古いこの一眼レフにISO感度400のネガフィルムをセットし、パタゴニアのトレイルランニング用バックパックに詰めて、いつもの山と森へ。ふだんのスロージョギングコースで海岸沿いの県道から集落へつながる旧道に入ると、目に飛び込んでくるのは真冬も常緑樹が茂る、温暖な半島らしい山の景色。木々の間から洩れる太陽に、逆光のアングルでレンズを向ける。山裾にかけての豊かなトーンと光源の穏やかな描写は、フィルムならでは。やっぱり佳いなぁと、クラシックなスナップ・スタイルを再評価したくなります。



水辺と森。心安らぐ場の空気を、フィルムは柔らかくとらえます。淡くナチュラルな色彩、ゆるやかなコントラスト。ずっと眺めていても、目が疲れない。デジタル画像も現像アプリによる調整で、フィルム表現に近づけることはできるけれど、どことなくフェイク感が残る。個人で愉しむ写真では、フェイクとはなるべく遠ざけていきたい。


カメラ同様、半世紀前に製造されたレンズだから開花したての白梅と太陽を撮れば、思いきりハレーションが発生。しかし、それがどうした。眩い光の道筋を感じる写真をぼくは愛でたい。デジカメでは白飛びで破綻してしまう世界を、フィルムと古いレンズでしっかり観てみたい。

LEICA FLEX SL , SUMMICRON-R35mm 1st EDITION / f2.0
FUJICOLOR  SUPERIA X-TRA400