2017年3月10日金曜日

おかしなパン


パン愛の深さ、洒脱な表現を敬いたくなるパンラボ・池田浩明さんと、お菓子研究家・山本ゆりこさんの共著「おかしなパン」(誠文堂新光社)。「お菓子みたいなパン」というお題目のもと、身近に買えて食べることができる、街角のさまざまなパンを考察。その独自の視点に惹かれて、ものの30分で読了。本のなかでは実験と称して、パンのおいしいレシピをいくつも提唱。そのひとつ、りんごを載せたパンに喉がごくりと鳴る。たまたま食卓に新鮮なりんごがあったので、レシピを参考につくってみました。ポイントは皮つきで、できるだけりんごを薄く切ること。


厨房の遠赤外線ガスグリルでじっくり焼く。りんごの上に冷凍庫にあったナチュラルチーズでばらばらと覆い、南房総で買ったトチのはちみつをたっぷりかける。このグリルは温まりはじめると、火力がいきなり高まるので、そばにいて様子を観ていなくてはいけない。なのに、ちょっと洗濯をしに、場を離れているあいだにパンを焦がしてしまい失敗。近所の「ポコパン」で食パン一斤を5枚切りにしてもらったのですが、7枚切りくらいに薄くくした方がこのレシピにはふさわしいかもしれない。はちみつのクセも前に出て、総じていまひとつの味わい。


めげずに、チーズの種類を変えて(クセのないもの、あるもの、どちらでもよいです)、はちみつのクセをやわらげるようシナモンの粉末をまぶす。そうして、こんどは慎重に焼き加減に眼を配らせて、リベンジ・りんご&チーズトーストのできあがり。


酸味と甘味が調和する素朴なおいしさ。三浦半島で人気のパン屋さんで働く妻からも褒め言葉をいただく。つぎの週末は薄いパンで、試してみよう。基本は示しながら、素人にもアレンジの余地を残す池田さん、山本さんの助言。ぼくはそこに高い知性を感じます。

SIGMA DP3 MERRILL