2017年3月9日木曜日

ロダンの美しいカレー


ときどき、どうしようもなく恋しくなる。ぼくにとってカツカレーは、そんな料理のひとつ。インド、和風、欧風とカレーはどんなタイプも等しく好みですが、加えて満腹になりたいという欲求が高まると、頭に浮かぶのは、こってりとした欧風のルー、ふっくらと炊いた日本米、それにサクサクとした衣のカツがたっぷり載ったカレーの情景です。その欲求に仕事場のある築地周辺で応えてくれるのは、八丁堀「ロダン」の一皿です。


口に運んだ瞬間のコク深い味わいにいつも心が満ち足りるのですが、午後も腹がもたれることがない点も賞賛したい。身体を気づかった、多彩なスパイスを用いているからでしょう。50歳を過ぎると、ボリュームだけは満足できず、食後の余韻も大事になってきます。ルーにカシューナッツソースで描いた文様も眼に至福。皿が運ばれてくるたびに、湯町窯、福間琇士さんのガレナ釉(黄釉)に洗練の線を描いたスリップウエアを想起します。

SIGMA DP3 MERRILL