2017年3月11日土曜日

メリル再評価


コンパクトカメラみたいな軽快な外観をしていながら、中判フィルムカメラ並みの高精細な絵を描くことができる。シグマDP3メリルのスーパーな性能に痺れた時期はとうに過ぎ、近ごろは、軽くて小さいことからスロージョギングの相棒に甘んじていた。再評価のきっかけはフィルムの描写に昨年末から再び魅せられはじめたこと。ふだん肉眼でぼんやりと眺めている世界を、細部までとことん見直したくなり、フィルムライクなメリルを散歩に、物撮りに、積極的に活用するように。たとえば、近所の画家・山口蓬春アトリエの前を歩いていたとき、庭の椿を鳥がついばんで、花をこみちに落とした瞬間をパチリ。ひとつの生命が母体から切り離された瞬間に立ち合い、マクロ・フォーカスモードで迫る。


手間がかかる現像プロセスを経て、PC画面に現れた絵は、フォーカスの合う部分のディテイルを驚異的に表現。もはやオールドモデルとなったデジタルカメラだけど、充分すぎる描写力。壊れない限り、使い続けたくなります。この普遍的なパフォーマンスに悦びを感じ、椿の絵をエプソン旧型複合機でプリントして、くつろぎの空間にピンナップ。画像はアップルの純正アプリ「写真」に取り込み、印刷設定は「自然な色合い」を選択。用紙は安価な竹尾「タブロ」A4版。この組み合わせにより、華美が過ぎる元画像の彩度が適度に落ち、まろやかで慎ましいテイストに好転しました。

SIGMA DP3 MERRILL