2017年3月16日木曜日

江戸の川をクルーズ


2週間に一度、仕事で日本橋を起点とするクルーズに乗船しています。日本橋川、神田川をたどり、隅田川と東京湾もめぐるお江戸の水旅。


江戸っ子ガイドの粋な解説に耳を傾け、1600年以降、家康が食料、飲料水の確保、上水と水運に心を砕き整備した痕跡を見学、撮影。長く穏和に繁栄できた「水都」の歴史。その背景を肌で感じます。するすると静かな水面を滑る舟。都心部のスムーズな移動感覚に独特の非日常感があり、愉しく心地いい。水辺に繁茂する植物は水面から眺めるとより愛でられる。水と風情の親密な関係にも思いを巡らせます。


日本橋川は隅田川に近い一部区間を除き、ほぼ全域が首都高速に覆われている。醜悪な佇まいに目をそむけたくなるけれど、暴力的なほど視界の多くを占めてくる。しかし、この醜悪な巨大構造物が、神秘的な陰影と揺らぎの映り絵を水面や護岸に描いている。不思議な美を創出している。美醜が表裏に同居する矛盾を好意的に受け止めよう。


思わず撮りたくなるシーンが続々。日本橋川はさながら光と影のアートギャラリーのよう。この不思議なアートにあえてスポットを当てる手立てはないだろうか。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. f / 1.4