2017年3月7日火曜日

マンハッタン追慕


「ジョセフ・コーネル」伝記本に気持ちが入っていけた大きな理由は、彼が創作の素材を集めた古書店や、作品を展示するギャラリーなど、マンハッタンが舞台になっているから。アッパーイースト&ウエストサイド、グリニッジ・ビレッジ、東の何番街だとか。小さな島なのに、それぞれの区画や通りに異なる個性的な空気が流れている。その奥行きのある文化と美意識、煉瓦造りの歴史的建造物が並ぶ街並みは本の行間から察するに、半世紀前と今もほぼ変わっていない。古き佳きが当たり前のように残る都会。なんて素敵なんだろう。以前、マップを制作するためにこの島の隅々まで歩いたから、登場するエリア、ストリートの名前からあたりの風景をすぐに思い出せる。同時に街への追慕で、胸が熱くなります。写真は冬のユニオンスクエア。朝早く、野菜のマーケットを取材した後、朝食を食べにベーグル専門店に向かう前、園内のベンチでひと休み。木立のシルエット、鳥の声、犬と散歩する地域住民、ゴミ箱の造形、フェンスの色、公共スペースの文字。すべてが完璧に美しく、洗練されている。あの街に戻りたい。そう願いながら本の世界に没入して行きました。

HASSELBLAD 500C/M , 
CARL ZEISS PLANAR C80mmT /f2.8
KODAK PORTRA400