2017年7月10日月曜日

物撮り考


1990年代、僕は月刊雑誌の編集部に属し、物紹介ページを担当していた。物撮りを得意とする職業写真家とクーラーの効かない狭いスタジオにこもり、一晩中あらゆるかたちと大きさの物を撮り、明け方には気絶するように床で寝ていた。20歳台の体力・気力がないとできない仕事だけど、物撮りのライティングを徹底的に叩きこまれた。のちに、雑誌『湘南スタイル』別冊のムック本では、湘南土産の物撮りも自宅に組んだ簡易スタジオでおこなった。こうした緊張感をともなう実戦的な体験はとても貴重なもの。だけど、これから制作を考えているリトルプレスでは、基本は踏襲しつつ、可能な限り簡素なやりかたで物撮りをしようと思う。機材もなるべくコンパクトに、ミニマルに。露出、暗部の補正に現像アプリも駆使。では、どんな機材でどう撮るか。日曜日の午後、情報を集め、参考になる本を眺め、ひたすら考える。ライティング機材も驚くほど進歩しているから、その恩恵も受けなくては、もったいない。撮影機材専門のプロにも相談してみよう。制作が始まるまで、いろいろ調べ、思案し、自分にベストの方法を見つける。これがじつに楽しい!

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. f/1.4