2017年8月10日木曜日

西陽


日没に太陽が海に沈んでいくという感覚は、海辺に暮らしていると、おのずと抱くようになる。山のふもとに暮らせば、山に太陽は沈む。都会ではビル群に沈む。しまいに、きわめて低いアングルから光を放ち、その強い斜光が室内に劇的な陰影をもたらす。


沈む直前のわずか数分のシーン。物の影が長く伸び、そのやわらかな影のトーンに眼と心が奪われる。太陽のライティングは、あらゆる手立てを使っても完璧に再現できない。この静かで美しい時間に居合わせられた休日は、満ち足りた気持ちで胸がいっぱいになる。手元が見えなくなるまで、人工的な照明は灯さず、暗がりのなかで余韻に浸る。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH. f/1.4