2017年8月31日木曜日

LIGHT on LIFE


まだまだ盛岡ネタは続くのですが、ひとやすみ。昨日は友人の写真家・高砂淳二さんの写真展『LIGHT on LIFE』が東京での展示を間もなく終えてしまうので駆けつけました。ひたすら気持ちが安らぐ風景、愛らしい生き物たちの表情。優しく温かな独自の眼差しで自然と生態をとらえた写真がかなりの充実度で並べられています。3:2のフォーマットにこだわらずスクエアやパノラマにトリミングした作品からは、高砂さんの被写体への視点と景色の広がりが感じられて、写真はあれだけ大きなサイズで見ると、やっぱりいいなと感銘を受けます。個人的には夜のフクロウの飛翔、巨大なネムノキ、樹のうえでくつろぐテングザルたちの写真にとくに魅せられ、いつまでも見続けていたくなりました。


高砂さんの強みは陸上だけでなく、水中も自由に動き回れること。写真の技術同様、スキューバ&スキンダイビングのスキルはインストラクター以上のものを備えていて、海洋生物のように水中で過ごせます。そのため不意に出会う幸運の瞬間も逃さない心のゆとりを持てるのです。電気にも強いから、ロケ先でしばしば起こる撮影機材の電気系トラブルも自分で修理できてしまう。辺境地の撮影にも対応力の高い写真家なのです。さらには一般的な風景写真家とちがって人物も物もあらゆるものをセンスよく撮ることができる守備範囲の広さも特徴といえましょう。そして撮りたいものへのイメージとアイデアは常に抱いている。ほんわかした人柄からは想像できない緻密な思考と繊細な創造性の持ち主なのです。どうしたらこんな一瞬に遭えるのだろうと、会場で多くの人が感嘆すると思いますが、それは偶然というより、彼の強い情念が招きよせている必然だと僕は考えています。


会場は新宿駅前、ビルの28階にあるので、眺望も壮観。破壊と新生を重ね続ける東京の今を俯瞰することができます。

LEICA M-E , MACRO ELMAR90mm f/4