2017年10月6日金曜日

飯倉~六本木・外苑東通りを歩く


港区神谷町でデザイン入稿を済ませたあと、湿度の低い気持ちのよい午後だからと、散歩することにした。麻布台の飯倉から外苑東通りに入ると、巨大なメキシカン・プランツに目が奪われる。自邸近所、温暖な葉山一色海岸に群茂するリュウゼツランよりも立派。熱帯都市ですくすくと育っている。東京のグリーンはインパクトあるなぁ!とスナップしている僕の脇を、歩きスマホならぬ歩き読書の小学生が流麗な動きで通り過ぎていった。麻布の小学生はさすが小粋である。老練の散歩師の気配をすでに漂わせている。


異国の大使館が立ち並ぶエリア。ヴィンテージマンションや洋風個人住宅など開発のはざまで生き残る味わい系物件に心がときめきっ放し。麻布郵便局の格好よさに腰を抜かしそうになった。


1930年竣工の旧逓信省貯金局庁舎。ファザードで目をひく、アールデコ装飾の柱を回遊させてもらう。


散歩の第一の目的地は六本木axis。この日から1階の「リビング・モティーフ」でポスタルコの展示『SWIMMING IN PUDDLES』がスタートしていた。


いつもながら簡潔でありながら、手のこんでいるマイクさんの展示。製品開発の背景や特徴を、実物を手に取りながら知ることができる。




ポスタルコ製品のなかでいちばん使う頻度が高い 『SNAP PAD A5』。コピー用紙をリサイクルするという行為を楽しく上質なものに昇華させてくれる。小道具として置かれていたパンチャーのクールな佇まいにも目が釘付け。マイクさんのセンスを観て盗む。


LEGAL ENVELOPES」はポスタルコ創立の原点となったプロダクツだという。この書類ケースの黒色を銀座線の車内でおじさんが小脇に抱えている景色に痺れた。持つ人を格好よく見せる洗練がこのブランドの魅力。僕も黒色のを買っていつか真似したい。


この『TOOL BOX』も憧れのアイテム。スリムな造りなのに、左側の色鉛筆すべてを納めるキャパシティを誇る。日本の職人に相談し、複雑な構造が可能になったのだとか。


2年かけて制作したという書籍『SWIMMING IN PUDDLESも先行発売されていた。


WEBSITEと一貫した美しいアートディレクション。ゴシック書体の下にはマイクさんの私物だろうか。1940年製のスコッチのテープディスペンサーをレイアウト。この洗練を極める選択眼に少しでも近づきたい。この重厚なヴィンテージ・アールデコツールの色気がたまらない。ビジュアルに魅せられるあまり欲しくなる。北米で流通した日用品のようだ。

散歩は続く。

SIGMA DP3 MERRILL 75mm f/2.8