ライトアップの色彩、水鏡、月などいくつかのテーマを持って江東・墨田・台東区を徘徊。亀戸&平井のふれあい橋で撮影。この青の調和は偶然じゃない。入念なリサーチの末、この日の晩を選んだ。第一の課題をクリアし、次の目的地である浅草まで50分ほど歩く。メインストリートは避け、中秋の月の下、google mapを頼りに平穏な水辺の路地を進む。夜の下町はしんと静まり、風の冷たさもあって人恋しさで寂しくもなる。
隅田川を前に、東武鉄道の鉄橋たもとで休憩。深川ワイナリーに寄って買っておいた紙容器入りのワインを呑む。長野産のブドウで造った無濾過ワイン。バックパックにはイランの手吹きワイングラスも忍ばせていた。
丈夫なグラスだから屋外にも安心して持ち出せる。大川端でワインを愉しむ。また、ひとつ自分のささやかな夢を実現できた。体に優しく沁み入るワイン。おいしいなぁ。
この日は23時過ぎに満潮を迎え、15分間ほど隅田川は月の引力から開放される。水面が鏡のようにフラットになり、スカイツリーが綺麗に映るのだ。奇跡の瞬間に立ち会うため、ワインを呑んで待っていた。その時を迎えた時は、感激で心が震えた。川と海と月は繋がっている。自然の営みは確実に、ひっそりと日常のそばで繰り広げられている。その事実を酔眼でしっかりと捉えられた。忘れられない夜になりそうだ。
SIGMA DP3 MERRILL 75mm f/2.8



