2018年5月14日月曜日

昔のやちむん


日曜は鎌倉もやい工藝で催された手仕事フォーラムの学習会に参加。手仕事フォーラムのホームページで昔と今の佳い物を紹介する記事「昔の物 今の物」を連載する大先輩、横山正夫さんからやちむん(沖縄のやきもの)の佳作を例に、現代の物との違いを教わる。


かつてのやちむんが優美で端正なかたちをしていること、白土の色合いが美しいことを、初めて知った。それらの物の保存状態のよさにも感嘆。


渡名喜瓶にこんなにどっしりと重心が低い魅力的なかたちがあることも。横山さんの話のテンポが絶妙で、ひとつひとつの言葉が心地よく心の奥に沁みいってくる。



客観視するように、美しい物とは何か、熱を抑えた口調で伝える横山さん。自身の好きな佇まいと、物への愛情をそっと感じとれた。


故・久野恵一さんが最後に話そうとしていたのは、恩師・鈴木繁男さんがやちむんに施した赤絵のこと。その実物を観て、手に取れて感激。


名前で物を選んではいけない、ひとりの工人でも佳い物と、そうでない物があり、佳い物を見いだす眼を養ってほしいと説く。ことさらものの解説を添えない、「もやい工藝」と、尾山台・「手しごと」の展示は心眼の鍛錬にうってつけの空間だと、改めて感じた。


今の僕にはそんな眼が備わっていない。この日も、つくり手が大好きな松田共司さんであることと、沖縄では希少となった白土を共司さんがストックし、その土を用いて焼いた物という話を久野民樹さんから聞いて、このカラカラが心底欲しくなった。先入観や知識なしに、このような佳き美に、直感で瞬時に手を伸ばせる日が自分にはくるのだろうか。

LEICA M-E , SUMMILUX50mm ASPH
SIGMA DP3 MERRILL75mm