2018年12月30日日曜日

BAY SIDE



年明けの中旬に新たな展開がある豊洲市場。個人的に関心は皆無だが、業務モードで取材の下見に行った。
まんべんなく視察し、築地の仕事場まで歩いて帰る。
僕が惹かれるのは、観光客の居ない環状2号線の道。豊洲市場から水路と東京湾を跨いで晴海と豊海を経て、築地の旧市場方向へまっすぐ伸びる。架かる橋はまだグーグルマップにも載っていない。汐留など港区方面から豊洲市場にアクセスするのに最適なルートなのに道路標識には豊洲市場の案内はいっさい無い。そこに意図を感じる。存在を知るのは、タクシードライバーや市場関係者などごく一部。秘密めいた在り様に僕は興奮し、嬉々としてさまよいたくなる。



2020年の選手村も静か。今は工事に就く人だけが行き来している。



僕の実家脇の佃水門へと続く朝潮運河の南西側水門、朝潮水門。珍しい横開き式スイングゲート。1964年竣工。このプライベートボートのように東京湾から隅田川へ水路をドライブしてみたい、と子どもの頃から夢みていた。



豊海一帯の高層マンション開発で駆逐されたと思いこんでいたが、運河沿いのフラットハウスは健在だった。水に張り出して暮らす夢の高床スタイル。粗野でも、こんな住居に快楽的な日常を想像する。



勝どきにも、まだこんな暮らしが根をしっかり下ろしていて胸を撫でた。ブルックリンみたいな倉庫街は消えても、開発の隙間にたくましさが息づく。これぞ東京ベイサイド。



静まり返る旧市場の残骸を眺め、勝どき橋を渡る。



斜光と鉄骨。激変しているようで、懐かしい想いにも浸れる余地がある。どんな強欲も土地の記憶は消し去ることはできないと確信できた有意義な散歩だった。

LEICA ME , 7artisans 28mm F1.4